2008年12月11日木曜日

神話

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 いつも渋谷駅を利用していながら、まだ観に行っていなかったので、ちょっとだけ遠回りして観てきた。


 芸術は爆発だ!というアフォリズムが有名で、単純で変人みたいに思われる岡本太郎だけれど、僕はけっこう好きだ。


 「個人的に作品を売ることを拒否し、誰もが好きな時に作品を見られる」ことを重んじていた彼の作品の多くが路上や公園に置かれているように、岡本太郎はパブリックアートの先駆者だった。街を歩いていて本物のアートに出会うという体験は楽しくなる。彼の作品はアーティストを呼んでアートを置こうという、計画ありきのパブリックアートに見えないというのが親しまれ易い理由の一つなのではないかと思う。売ることを考えていないが故に、イスなどの一部の作品を除いては、一品しか存在しないし、作品のことごとくがとにかくでっかい。キレイでなくて、上手くも見えなくて、心地よくもないものが、巨大なスケールで街にあるというのは老若男女問わずインパクトが大きいだろう。景観の良し悪しとかの判断の前に、「で、でかい!」という感想が出てしまえば岡本太郎の勝ちなのだろうと思う。


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 「明日の神話」が岡本太郎の家のある渋谷に、それも駅という公共の空間に置かれたのは、きっと大正解だ。岡本敏子さんも喜んでるに違いない。

 けれど、駅の蛍光灯に照らし出された「明日の神話」を観て、僕はメキシコの太陽の下にこの絵が置かれたら、どんなに強烈だったろうと思わずにいられない。

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