2009年6月25日木曜日

坂倉準三展


 午後に天気も回復したので、鎌倉へ坂倉準三展を観にいく。

 建築家 坂倉準三展:神奈川県立近代美術館<鎌倉館>

 平日の昼間で、来館者は少ない分だけ時間をかけてゆっくりと見ることが出来た。坂倉準三といえば、神奈川県立近代美術館、西洋美術館、新宿ターミナルが浮かぶものの、他の仕事についてや坂倉準三の系譜については勉強不足だった。

 今回の展覧会で、コルビジェ事務所へ入所する経緯やパリでの仕事の数々を観ることが出来たのは貴重だったし、そこでの基盤が都市計画への高い視座を保ちながら建築を生み出すことへと繋がっていく構成はとても分かり易い。
 出光興産のガソリンスタンドで、とにかくデザインが被らないように様々なバリエーションの構成が試されたガソリンスタンドの数々、その青焼きパース図面からは、ガチガチのモダニストという勝手な坂倉準三のイメージが変わるような楽しげな雰囲気が伝わる良い作品群だ。
 また、戦時下の組立て住宅の紹介とその実作の展示は地味だけど凄い。戦時下の建築家の活動はタブーとして語られないこともあるらしいけれど、坂倉準三がそこでコルビジェ事務所の図面を参照しながら組立て住宅の開発に携わっていたのは興味深く観れた。


エルム通の路地裏

 先日、大倉山記念館での講演会に行った際、主役の大倉山記念館以上に面白かったのは大倉山駅前のエルム通りのまちなみ。










 以前に大倉山を訪れた時にも何か違和感を感じていた。通り沿いにギリシャ・ローマ風の円柱、エンタブラチュア、ペディメントがファサードに使われた商店やマンションが百数十メートル程の区間で建ち並び、統一されている。それぞれの商店は何処の商店街にもある洋品店であったり、威勢の良い八百屋であったり、文房具屋さんやクリーニング屋さんで、その町並みと足元部分の機能とのコントラストが強烈に異質な場の雰囲気を生み出しているようで楽しい。御洒落さと生活感が渾然一体となって眩暈がするほど。









 
誕生は88年のことだ。大倉山への港北区役所の移転を機に、歩道がなく危険だった道路を整備し、電柱を撤去した。ここまでは普通。
 当時の商店街振興組合の理事、浜野守司さん(72)たちは、アテネ市にある「エルム通り」と姉妹提携を結び、街のシンボルでギリシャ神殿風建築の「大倉山記念館」にならい、通り沿いの建物をごっそりギリシャ風に建て替えた。総事業費およそ23億円。
[via:朝日マリオン・コム ストリートストーリー 大倉山エルム通り]


 大倉山エルム通りのまちづくりの取組みは第三回横浜まちなみ景観賞(平成元年)を受賞している。その前年には大倉山西口商業協同組合がまちづくり功労者賞も受賞している。一時期に集中してまちなみを一変させてしまう事は大変な事であったに違いない。

 エルム通り沿いのギリシャ風ファサードの建築の特徴として漠として分かる共通点は
1.円柱を必ず用いる(様式はわりとばらばら)
2.大倉山記念館の三角形窓をイメージした三角形の装飾を柱の付近に必ず設ける
3.エンタブラチュア、ペディメントは付いている方が良
 という辺り。看板建築風になっているものもある。





 エルム通沿いの車止めもギリシャ風の円柱がモチーフ。


 エルム通の表通りに面したギリシャ風の建物が、まちなみ作りの第一期の産物であるとして、エルム通りから離れた場所に第二、第三期ともいえるような建物とも出くわした。それらは、まちなみ作りのルールから離れて自由な立場と気分でまちなみへと参加している。まちなみが作り手を離れて路地へと侵出していく。




 路地裏に突如として現れるギリシャの円柱。亜流の傍流ともいえるデザインが、いつの間にか町の中で調和してしまっている。

2009年6月21日日曜日

長野宇平冶と大倉山記念館



 大倉山記念館にて、大倉山講演会に参加。横浜都市発展記念館での企画展「横浜建築家列伝」に関連して、大倉山記念館の建設経緯にまつわる講演会が連続して行われている。今回は吉田鋼市さんを講師に長野宇平冶という建築家について、さらに大倉山記念館(大倉精神研究所)の設計経緯、さらにこの建築の独特の様式である「プレヘレニック様式」とは何ぞや、ということについてお話を聞くことができた。とはいえ、昭和7年竣工の建築であり文献資料がとても限られた中で分かることは極々一部。施主である大倉と長野の関係、様式を生み出した経緯については推測するしかない点も多いようであるけれど、そこに壮大なロマンがある。
 今回、吉田鋼市さんのお話で、プレヘレニック様式であることが記載された近代建築が大倉山記念館以外にもあるという話があった。大倉山が唯一のプレヘレニック様式と謳われていたので意外だった。
 The National Bank of Greece in Nafplio

プレヘレニック様式(クレタ、ミュケナイ文明の様式)の特徴として、下にすぼまった柱、追い出し積みの三角形開口部、巻波紋、バラ形装飾などが用いられているとのこと。確かに幾つか特徴が符号しているのが分かる。

2009年6月13日土曜日

うみへ

 先月、大幅に部品交換をした自転車の試し走行をなかなかする機会が無かった。
今朝は久々に天気も良く、海に、それもみなとみらいとかではなく、磯の臭いがする海に行きたくなり、金沢八景までサイクリング。八景島を遠目に眺めながら、釣りしてるおっちゃんとその子供と一緒に横浜市港湾局の訓練を見てた。


 ついでにシーサイドタウンも少し見学。工場団地もぶらぶらと覗きつつ三渓園へ。

やぁエドワードさん、エドワードさんじゃないか!


これは三渓園傍で好きな傾斜地住宅。
傾斜というか、崖だ。

2009年6月1日月曜日

洋食 大木

TAを担当させてもらっている講義で、まちあるき。

その前に、お昼過ぎに浅草集合だったので、早めに到着して事前の腹ごしらえに洋食屋の大木さんでカツ定食を久々に頂く。
大木さんは、戦前から営業している老舗の洋食屋さん(創業120年という話も聞く)で、現在のご主人は2代目で戦後から先代について修行してきたそうだ。
外観はいわゆる看板建築。


立川談志さんが常連ということもあり、談志関連の書籍や、連れられて来た芸人たちの千社札がそこら中に貼ってある。



3年ほど前に隅田川の花火で、トイレを貸して頂いたのを縁に、浅草で時間がある時はここで御飯を食べている。時間がある時、というのは、御主人が話好きで食後は30分くらい趣味の写真の説明や痛烈な政治批判を聞かせてくれるからで、それがとても疲れるのだけれど、うんうんと聞いているのが結構楽しいし、勉強にもなる。年に1,2回しか来ることもないけれど、そのペースも丁度良い。

この日は、突然の雨で、店を出際に傘をお借りした。傘のお礼にまた御飯を食べに行こう、来る度にいつかまた来る時のことを考えている。