2009年7月24日金曜日

著作権の底無し沼に奈良でひとりぐちる

ほかの多くの同業者たちにとってもそうであるかどうか、確かめたことはないが、少なくとも私にとっては歴史を組み立てる作業はいつでも<狩猟の気分>とでも呼ぶような軽い興奮を伴っているのはたしかだ、
「神殿か獄舎か」 長谷川尭


僕もまた、狩猟のために奈良にいる。
これまでの作業で見つけることのできなかった資料を狩るために、NPO西山卯三記念すまいまちづくり文庫にとりあえず来てみた。
事前の検索で目ぼしいタイトルの資料や図面の検討を既につけている。
あとは週末の限られた開館時間内で狩れるだけの獲物を狩るのみなのだけれど、現場についてから困ったことが一つ。一般の出版物を除き、西山卯三の収集した資料は全て西山文庫に知的財産権があるために、複写や撮影ができないのだ。
今回の滞在が、未収集の資料の捕獲を目的としているため、この目で見ておきながらリリースするしかない資料が莫大にあることが、とても辛い。よくよく考えれば西山先生の作成した資料であればいざ知らず、収集した資料にも権利が発生するのはややこしい話だ。団体や組織名義で発行した雑誌や資料であれば著作権は切れている筈であるけれど。うーん、仕方ない。どうしても欲しい図面は方眼紙に描き写すしかないのか。

しかし、自分が研究の為に収集した雑誌記事や文献の切り抜きのほぼ全て、いやそれ以上の分量が既に西山文庫に綺麗に青焼にして目次付きでスクラップ製本されていて、しかも西山先生自身によって注釈が入っているのを目の当たりにすると、西山先生の蓄積の凄みに萎縮してしまう。
あと二日、狩りは続く。午前中は鹿でも見に行こう。

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